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  • 執筆者の写真SHIGERU MAKINO

好きな企画4「LIVE/中国/ANA」


もう昔のテレビCMですね。

様々なタレントさんやアスリートが中国を観光し、その様子を家庭用ビデオで撮影してるだけ。そんな内容です。

スタート当初は高嶋政伸さんや宮崎あおいさん、福原愛さんなどが出演されていてご記憶の方もいらっしゃるかもしれません。 その後も様々なタレントさんで継続されていました。

(やはりオフィシャルな動画はないのでアップはしません)

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これは当時電通にいらっしゃったコピーライター佐々木宏さんの企画です。佐々木さんはこれより前からANAの仕事を手がげられていました。

このCMを見た頃、僕は広告営業ではありましたが、まだ今のような仕事をやろうと思ってはいませんでした。ですが印象に残っていました。

コピーライター講座に通うようになってから読んだ本で佐々木さんの仕事だと知りました。 そに中にあったこのCMに至るまでの思考の過程がすごく好きなのです。

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中国への旅といえば、大抵は4000年の歴史だといって古いものばかりを見にいく。でも当時から上海などの都市部は驚異的に発展していた。そこから「高速中国」というキャンペーンを手掛けていもいらっしゃいました。

そこへ反日デモが起こります。一万人の中国人がデモ行進を行い、日本料理店や日本領事館が被害を受けた。

その様子をニュースで見て、単純に観光を勧めるような広告は適当ではないと感じたそうです。そこから出てきたのが「どういう表現をするのもよくない」「中国を表現してはいけない」というコンセプト。

ですが、反日デモがあっても、佐々木さんは知り合いの中国人を見る限り普通の人だと感じていた。中国人は本当に日本を嫌っているのだろうか、そういう思いがあったそうです。

普通に観光にいって普通の中国人と接すれば、中国人は怖くなかったよ、思ったよりもいいところだったと思うのではないか。 もうひとつ。

大抵の場合、観光の広告はプロが撮影した美しい写真や映像で景色が描かれる。でも現実の観光客は、クレーンに乗せたカメラの高さから万里の長城を眺めることなどありません。そのような実際の観光というものを差し置いて、広告だけが盛り上がっているのはどうなのだろうかという考えもあった。

そこでタレントさんに家庭用のビデオカメラを持たせて、普通の観光客として行ってきてもらうだけ。等身大の中国旅行の楽しさが出たCMとなりました。

スタッフの同行もしないという非常に予算のかからないCMでクライアントさんが喜び、

かつ、このような広告は視聴者にとって新鮮で、大きな広告効果を出せました。二重に喜んでもらえたと佐々木さんはおっしゃっています。

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これは、眞木準さんが編纂された「ひとつ上のアイデア。」という本から。

抜粋ではありません。かいつまんだ、言葉足らずの引用ですが、

この佐々木さんの思考の転がり。常識や一般論、先入観を排除し、自分はどう思うのかを考えている。観光広告ってこうだよねっていう前例も疑う。

実はここがすごく重要で、かつ自分が大好きなところ。奇抜さを求めている訳ではなく今回必要なことは何かを考えてる。本質は何かをご自身なりに考えています。

自分がやりたいのはこれなんです。

以前書いた、佐藤可士和さんの「ふじようちえん」も、

安藤忠雄さんの「本福寺」も、これなんです。

今見るとYouTuberなどインフルエンサーマーケに似てる印象があります。ですが企画の出発点が違う。

YouTuberさんだと自動的にこのような内容になると思いますが、このCMはこうではなくてもいいなかで、この内容に至ったワケです。

(インフルエンサーマーケがダメだといってるわけではありません。このCMについていえばということです)

佐々木さんはこのあと、ソフトバンクのお父さん犬などヒットシリーズを連発していきますが、僕はこの「LIVE/中国/ANA」が一番好きで、今でも仕事のベンチマークにしています。

ちなみに「そうだ 京都、行こう」は佐々木さんです。このCMより前ですけどね。今でも使われていますし、これが一番有名かも(笑)


 眞木準 編「ひとつ上のアイデア。」 より


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